玖珂郡 錦町 宇佐
県下でユニークな滝といえば、蔵目喜川の下流の弁慶瀑と浦石川上流の木目の滝が双璧と思う。この滝の特徴は、たとえれば、四国の宇和島市近郊の滑床渓谷にある雪輪の滝のミニ版である。木目の滝とは30㍍離れている二つの滝の両方をいい、上の滝は長さ40㍍(落差20㍍くらい)のナメ状の斜滝で、下滝の方は30㍍位の落下型である。木目という名前は、すべり台状の岩膚を、水が薄く、広く木目のような模様を描きつつ流れ落ちるためだと思われる。
下滝の方は上半部が弧状の斜面だが、そのはじまりの部分に、”大人の足跡”と呼ばれる浴槽のような凹みがある。さっそくヌードで水風呂と洒落込んだ。周南勤労者山の会(杣道)の人達は、このあたりが滑床なので、ロープを張って安全策として、水滑りを楽しんでいる。
ナメ床は、木目ノ滝の上流に200㍍ばかり連なっており、来たものを裸足に誘う。この川床はさらにその先では二つにわかれ、左にとれば河津越えの峠に至る。そのあたりは自然状態の雑木林が美しい。惜しむらくは、滝は滑床の周辺までこの林相であればと思う。私が最初訪れた時、滝の近くでは惜しげもなくモミジの木などが切り倒されていて、スギやヒノキの幼木が植えられていた。
木目の滝は浦石峡の上流にあるが、この渓谷は、沢の要素をすべて具えているものとしては県内で最右翼にあげられる。そこで、”杣道”の会員により、沢歩きのゲレンデとされている。
宇佐川本流との合流点から、沢伝いにこの滝までたどり着くにはかなりの技術と体力、及び時間を要するので、木目の滝の観賞には、宇佐八幡宮の前の道路から入るのが無難である。分かれ道を右上手の砂利道にとり、一㌔ばかり進むと行き止まりとなる。そこが浦石の沢への肩になっていて、滝のすぐ下手からの用水路もここを越えて、宇佐の水田をうるおしている。水路沿いの快適な小道を二㌔歩けば、その用水の取水口で、そこから道は高巻いて、上下滝の間にでる。
竜ヶ岳峡(いわゆる寂地峡)が観賞向きなのに対して、こちらは弁当持参で、ゆっくりくつろぐのに適している。