玖珂郡 錦町 河津
この滝は深谷川の源流域にある。深谷川はその名の如く、目もくらむほど深い谷をなしているのに、両岸は全く平準な広々とした田畑である。こんな特異な地形は河川争奪という自然史上の大事件の名残なのである。
深谷川は今でこそ高鉢山に連なる山体を突破して岩国方面に注いでいるが、かつてはこの山に阻まれて右折し、今の田野原から六日市方面へ転進して日本海へと流れていたのである。
またこの川は島根県との県境でもあって、その最奥の集落が河津である。道路は川に寄り添うように河津まで通じており、バスも入る。それから先は2㌔ばかり奥までの、石ころだらけの林道である。
林道沿いの渓流は河津峡と呼ばれ、磨いたような岩の川底をなしていて、滑床と形容している。この沢をどんどんつめて、林道終点から1㌔ばかり進んだところにこの滝がはさまっている。
ここはもう寂地山の中腹で、谷幅がせばまり、岩相は荒々しくなり、登り道も高巻いている。まさにゴルジュの言葉がピッタリくるような形相で、滝の高さは15㍍、実際の印象はもっと大滝のように見える。