岩国市 二鹿
滝の三分の二はその場所、あるいはその存在を指定する事が可能だが、中には、まさかこんな所にと思う箇所に懸っているものが見受けられる。
そんな滝の情報入手は、古文書を拾い読みしたり、通りがかりに土地の人に尋ねたりした。また、役場に電話して聞いたり、市町村史をひもといて知りえた事もある。
「岩国市史」中の二鹿七滝の記事を読んでから、すでに三年になるが、まだ踏査が完結していない。七つの滝がある事がわかっても、その場所を各々について、つきとめるのが一仕事であった。
最初峡谷沿いに、上流から、本流との合流する点までたどってみた。それらの滝が峡谷中に階段状にあると想定したからだが、これは当て外れであった。この時は霧がくれの滝らしい懸谷の滝を見たのが唯一の収穫であった。
大かずらの滝について、市史には、「高さ28㍍、滝壷に続いて広場あり、粘土岩を貫いて深く切れこみ落下、水量豊富、大かずらがはっている」と述べてあった。
市史の文章と二万五千分の一の地図を見比べつつ、等高線の縞模様からそれらしき箇所を嗅ぐのである。次に、地図上でマークしたそれらしき沢を下流から順次覗くようにして歩き、ようやく有望な沢を見つけて遡り、この滝にたどり着いた。
水量豊富は言い過ぎだが、姿は良い滝で、それまでの苦労に十分見合うものであった。名前の因のカズラの方は格別のものではなく平凡である。落差の方は実測地で32㍍であった。
その後、この滝の奥地をたどってみたら、200㍍ばかりの所にもう一つの滝を見つけた。これが、「鈴かけの滝」で、鈴の音のような滝音が名前の由来らしい。
淡緑色の苔が、三方の造滝壁をいっぱいに彩った、眼の覚めるように美しい、落差25㍍の滝であった。