阿武郡 福栄村 紫福
大井川流域は山口県の火山地帯で、羽賀ノ台・西ノ台をはじめとするいくつかの溶岩台地と、鍋山などのトロイデが散在する。したがって大井川そのものも、溶岩の直撃をしばしば被っているもようである。大井川には溶岩流にかかっている滝がいくつか見うけられ、この男滝や近くの女滝もその例である。
大井川の中流に南から桜川が合流するが、そこから三百メートル上流に女滝、さらに300メートル上流に男滝がある。川は平原台の裾をえぐって湾曲しているので、道路面と川床とは50メートルぐらいの高度差があり、滝に接近する道はない。
滝の所在は、道路まで達するその水音が示してくれるが、対面するための小道探しには苦労した。何とか滝の下流100メートルの所に降り立って、あとは川縁をたどった。
滝は日頃は広い川幅の左端を落ちているが、増水時には右端つまり道路側からも落ちているようで、深くて広い静かな淵をもっている。そんな時には高さ一八㍍『福栄村誌』で川幅いっぱいの見事な瀑布と化すであろう。
滝を構成する岩の障壁は、一見して溶岩脈であることがわかるが、その溶岩が対岸の長沢台から供給されたものか、あるいは平原台からか、それとも羽賀ノ台の尻尾になるのか私にはわからない。
今から数十万年前、長沢台が焼餅のようにふくれあがり、頂上から溶岩があふれ出し、川のように流れ下って、その一筋がもうもうと湯煙をあげつつ川を堰きとめた・・・。そんな光景が私の脳裏に浮かぶのである。
